ケーラー照明とは? メリットや原理、2つの絞りの役割を解説

ケーラー照明は光学顕微鏡や、プロジェクターなどに広く採用されている照明方法ですが、詳しい仕組みについて理解している方は少ないかもしれません。ケーラー照明はシンプルな構造ながら、観察対象を鮮明に照らす非常に優れた照明方法です。本記事ではケーラー照明の概要やメリット、ケーラー照明の特徴である2つの絞りについて解説します。

ケーラー照明とは?

ケーラー照明とは、顕微鏡観察で使用される光学系の照明方法の一つです。1893年にドイツの科学者アウグスト・ケーラーによって考案されました。対物レンズの後方にある開口絞りに光を結ぶのが特徴で、これにより視野全体を均一に照らして影やムラのない鮮明な像を得ることができます。照明する範囲や明るさは、視野絞りと開口絞りを調整することで簡単に変更可能です。透過照明、落射照明のいずれにも用いられ、現在の顕微鏡では標準的に採用されている、高倍率でも鮮明さを失わない照明方法です。

クリティカル照明との違い

対物レンズの後方に光を結ぶケーラー照明と異なり、クリティカル照明は観察対象に光を集める照明方法です。照明効率が良く、明るく照らせる特徴がありますが、観察対象に直接光が集まるため光源の形状や明るさのムラがそのまま映し出されてしまうデメリットがあります。

例えば、ケーラー照明による植物の気孔観察では、気孔周囲の細胞壁の厚みや形態が鮮明に映し出されるため判断も容易です。一方、クリティカル照明では光のムラが試料に影響してしまい、こうした細かいコントラストの違いを確認できない場合があります。そのため、高精度な観察が求められる顕微鏡観察においてクリティカル照明は不向きで、特殊な用途でのみ使用されています。

ケーラー照明のメリット

ケーラー照明のメリットは、観察対象に均一でムラのない明るい照明を届けられる点です。光源の形状や明るさのムラに影響されることがなく、高倍率でも細かい構造や試料表面のディテールを鮮明に観察できます。視野絞りと開口絞りが別々に機能することで像のコントラストや分解能まで調整でき、最適な照明条件での観察が可能な点もメリットでしょう。

またこうした高度な照明方法を、専門知識や特別な操作なしに利用できる点も大きなメリットです。ケーラー照明はほとんどの顕微鏡に標準搭載されており、初心者から専門家まで、誰でも簡単に光量などを調整しながら観察できる優れた照明方法なのです。

ケーラー照明の原理

ケーラー照明は光源、コレクタレンズ、視野絞り、開口絞り、コンデンサレンズなどのパーツにより成り立っています。ケーラー照明の原理として重要になるのが、光源からの光がコレクタレンズで集光された点とコンデンサレンズの焦点が一致することです。これによりコンデンサレンズを通った光は、観察対象に平行に当たります。つまり、光源が揺れるろうそくの炎や、コイル状の光であっても、その影響を受けずに観察対象を均一に照らすことが可能なのです。

ケーラー照明における2つの「絞り」の役割

ケーラー照明は視野絞り、開口絞りが独立しており、別々に調整できる特徴があります。ここでは視野絞りと開口絞り、それぞれの役割を解説します。

視野絞り

視野絞りを調整すれば、照明する範囲を変えることが可能です。観察対象の実視野にだけ照明が当たるように調整できるため、多過ぎる光が原因で視野の一部や全体が白っぽく映るフレアや、レンズに反射した光が映り込むゴーストなどがない、鮮明な像を捉えることができます。実視野よりわずかに広く光が当たるようにするのが適切とされています。

開口絞り

開口絞りは明るさ絞りとも呼ばれるもので、照明光の開口数を調整できます。開口絞りを変えることで視野の明るさや像のコントラスト、分解能までも変化するため、観察においては重要な役割を持っていいます。

開口絞りを絞り過ぎると視野が暗くなり、コントラストは良くなるものの分解能は悪くなります。開き過ぎると分解能は良くなる一方、コントラストが悪くなり像がぼやけます。つまり鮮明な像を捉えるには、開口絞りを正しく合わせることが必要です。開口絞りを適切に調整すると、全体が明るく鮮明に映し出され、コントラストもはっきりして観察に十分な像を捉えられます。

まとめ

ケーラー照明は光学顕微鏡などで広く採用されているポピュラーな照明方法です。原理はシンプルですが、観察対象を明るく均一に照明でき、鮮明な像を捉えられる、光学顕微鏡の観察では欠かせない照明方法です。

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