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デジタルマイクロスコープの照明方法

デジタルマイクロスコープには同時落射照明・側射照明・透過照明・偏光照明・拡散照明の5つの照射方法があります。対象物の違いによって適切な照明方法を選択すれば、より正確・鮮明な観察が行えるでしょう。今回はデジタルマイクロスコープの照射方法について解説しています。
「適切な照明方法がわからず、マイクロスコープの力を引き出せていないかも…」という方はチェックしてみてください。適切な照射方法が把握できれば、デジタルマイクロスコープのポテンシャルを最大限に発揮できます。


デジタルマイクロスコープの照明方法

同軸落射照明


同軸落射照明とは、照明をレンズの方向から垂直にあてる方法です。同軸落射照明は対象物を均一に照らすので、反射した光で綺麗に観察できます。
金属や表面が滑らかな樹脂、半導体ウェハなどの光を正反射する対象物は、斜めから照明を当てると反射光がレンズに入り込まず、光の量が足りなくなってしまうことも。同軸落射照明は、表面の光沢度合や組織の違いなどを観察したいケースに適した照明方法です。正反射の光をキャッチすることで高い制度の観察が可能。また、同軸落射照明は中倍・1000倍以上の高倍の倍率でなめらかな対象物を観察したい場合にも使われます。

側射照明

側射照明とは、レンズの横から光を斜めに照射する方法です。
斜めに照射することで、凹凸を立体的に浮かび上がらせます。凹凸の印影によって、対象物の溝の深さまで観察可能です。側射照明は、50倍・200倍~300倍などの低から中の倍率領域で拡散反射する対象物を観察するのに向いています。一般的に、拡散反射の性質があるのは表面が粗いものや光沢・艶が物体で、それらの観察の際には便利です。

透過照明

透明な対象物を観察する際に適した照射方法が透過照明。対象物の下側から光を照射する方法で、対象物の厚さを考えた上で、被写界深度の深いレンズや液中のエマルジョン、微生物の観察に用いるやり方です。透明な対象物に光を通し、屈折光がレンズに入ると観察が可能になります。

偏光照明

偏向フィルターは方向性のある結晶から構成されており、一定の方向に振動する光だけを透過させる性質があります。このフィルターを活用して照明に偏りを加えるのが偏光照明です。同軸落射照明・側射照明・透過照明のいずれにも偏光照明をかけ合わせられます。「光の指向性を向上させたい」「ある条件に適う光だけを通した」などの希望に合わせて、反射光を調整。観察の精度をあげられる照明方法です。
この方法は、透明なパッケージ・フィルムの印刷面や金属組織、セラミックの複合材、鉱物、皮膚の観察などに適しています。特に、乱反射を引き起こしやすい対象物を観察する際にはよく用いられる方法です。

拡散照明

金属の鏡面や表面がなめらかな樹脂、半田などの正反射する対象物を観察する場合に適しているのが拡散照明です。これらを対象物にする際、一方向から光を照射すると極端に明暗が分かれてしまい、上手く観察できない可能性があります。ニーズに合った鮮明な画像が得られにくいケースでは拡散照明を試してみましょう。
拡散照明では、対象物に対し複数の方向から均一な光を照射。その結果、反射光が安定し、きれいな画像が得られます。


透過照明による光の当て方

コンデンサーレンズ搭載の光学顕微鏡で透過照明を行う場合、光の当て方についても複数の種類が存在します。

ケーラー照明

透過照明で一般的に用いられている照明方法であり、光を対物レンズの後方へ集めることが特徴です。視野が明るく光のムラが減少するため、高倍率観察や写真撮影などにおいて必要不可欠な照明方法となっています。

散光照明

反射鏡の上部に散光板を設置して、照明ムラのない光の当て方を実現する方法です。全体的に均一の明るさを確保できる反面、散光板を通過させるため光源からの光量に対して視野がやや暗めになってしまいます。

クリティカル照明

光を試料面上へ集めて光源像を投影する照明法です。最大輝度で照らせるために明るい視野を得られますが、光源像がダイレクトに試料面へ投影されてしまうため、光源像の濃淡も試料面に重なってしまい均一な照明効果を得ることができません。


光源の違い

デジタルマイクロスコープでサンプルを観察する場合、光の当て方だけでなく、光源の種類によっても見え方が変わることを理解しておかなければなりません。ここでは光源の違いに応じた特徴をまとめています。

光学顕微鏡向け

自然光

太陽など室外からの光を反射鏡に当ててサンプルへ照射します。なお、直射日光を使用することは避けなければなりません。明るさが季節や天候などに左右されることも特徴です。

タングステンランプ

一般的に「白熱電球」と呼ばれる電球がタングステンランプです。昔から光学顕微鏡で利用されてきた光源であり、入手しやすいといったメリットがあります。一方、光量(明るさ)によって色温度が変わるといった特性もあります。

ハロゲンランプ

ハロゲンランプはタングステンランプよりも比較的白い色に近い光源であり、明るさにあまりムラがないという点が特徴です。電球としてはタングステンランプよりも高価な製品となりますが、タングステンランプよりも寿命が短いという利点もあります。

蛍光顕微鏡向け

水銀ランプ

高圧水銀ランプとも呼ばれ、蛍光物質の特定波長を励起させるため、一般的に利用されやすい光源です。光の波長を紫外から近赤外まで広範囲で再現でき、任意のフィルターを活用することで必要な光の波長を選択できることも特徴となります。
波長域に合わせてフィルターを交換することに加えて、高圧の電源装置が必要です。

キセノンランプ

舞台照明やカメラのストロボ(フラッシュ)などに使われるランプです。高輝度の光を発光させることが可能になります。

LEDランプ

発光ダイオードを利用したランプです。複数のLEDや蛍光体を組み合わせることで白色光を得られる上、消費電量が小さく寿命が長いといったメリットがあります。