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工業用デジタルマイクロスコープの選び方

このページでは、工業用デジタルマイクロスコープの選び方や、工業用デジタルマイクロスコープを比較検討する上でチェックすべきポイントなどについて解説しています。様々なデジタルマイクロスコープから的確な製品を選ぶ参考にしてください。


工業用デジタルマイクロスコープを選ぶポイント

工業用デジタルマイクロスコープを選ぶ場合、まずは導入する目的や環境、どのような対象物を観察するのかといった条件を確認しなければなりません。そしてその上で、条件にマッチした項目をチェックしていく流れになります。

倍率(視野範囲)

デジタルマイクロスコープの倍率は、どのようなものを、どれだけ拡大して観察しなければならないかという、デジタルマイクロスコープ導入の根幹に当たる条件にもとづいて検討します。
例えば微少な部品や製品を作業ライン上で観察したい場合、それに対して十分な倍率のデジタルマイクロスコープを選択しなければ、満足な観察や画像データの取得が行えないまま製品が流れていってしまうことになるでしょう。
加えて、デジタルマイクロスコープでは高倍率にするほど視野範囲が狭くなったり画面が暗くなってしまったりといった問題もあり、単に倍率の上限だけを見て選ぶのでなく、あくまでも正確かつ高品質な画像や映像データが得られるような製品を比較検討することが肝要です。

作動距離

レンズから対象物までの距離はデジタルマイクロスコープのサイズといったポイントは、デジタルマイクロスコープを導入するスペースや、採用可能なデジタルマイクロスコープのサイズといった条件に影響します。
十分な作業スペースや導入空間が最初から用意されている場合、デジタルマイクロスコープの選択肢は広がるかも知れませんが、反対に導入設置が可能な範囲が限定的であれば、どうしてもその範囲内に収まるようデジタルマイクロスコープを選ぶことが必要となります。
作動距離はもちろん、デジタルマイクロスコープ本体のサイズや付属品、また実際に操作する上でエンジニアや作業員がスムーズに作業できる余裕などについても合わせて考えるようにしてください。

表示速度

製品が絶え間なく流れていくライン上でデジタルマイクロスコープを設置し、不具合人の検出や品質管理の効率化などを行いたい場合、画像の表示速度や処理速度といった項目も重要となります。
高解像度のデータであれば細部まで綺麗に撮影することができますが、データサイズが大きくなるほど転送や表示に時間がかかり、場合によってはラインの流れる速度とデジタルマイクロスコープの表示速度に差違が生じて正確な観察ができなくなるかも知れません。
前提として必要十分なサイズの画像や映像を記録可能なものであり、なおかつ、ラインの作業速度に応じて観察や操作が可能な表示速度の工業用デジタルマイクロスコープを選択することが重要です。

拡大観察時、取付・加工など作業が必要か

デジタルマイクロスコープの倍率を変更したり、リアルタイムで観ている画面からズームイン/ズームアウトなどを行ったりする際に、そのままシームレスに操作できるのか、それとも何かしら専用のパーツを取り付けたり設定を物理的に変更したりしなければならないかといった点も要チェックです。
工業用デジタルマイクロスコープを導入する場合、生産工場や製造現場など、常に様々な作業がライントして稼働していることが考えられます。
そのため、少しでも余分な作業が発生すれば全体にマイナス影響を与える必要があり、基本的には操作が簡単かつシンプルな製品を選ぶようにします。

操作の容易性

デジタルマイクロスコープの操作が難しいのか、それとも簡単かも、導入プランを考える上で重要なポイントです。
操作性が悪いデジタルマイクロスコープの場合、正確な観察や活用に専門の人材が必要となり、属人性が高くなって人材マネジメントの観点からリスクが増大します。
一方、誰でも分かりやすく操作できるデジタルマイクロスコープであれば、作業の属人性を排除し、より広い範囲で人材マネジメントやデジタルマイクロスコープの利用フローを検討していくことが可能です。

スタンドアロンでの利用

デジタルマイクロスコープが単独で利用できるのか、それともパソコンやモニター、記録媒体といった様々な機器へ接続して使わなければならないのかという点も重要です。
デジタルマイクロスコープが単独で利用できる場合、スムーズな導入が可能になる上、実際に利用する時も臨機応変な活用法を検討できます。一方、デジタルマイクロスコープを完全に固定して利用する場合、必要な画像や映像を観察するためにモニターを離れた場所へ設置したり、大容量の記録媒体をあらかじめ接続しておいたりといったことも考えられます。
スタンドアロンシステムを選択すべきか否か、事前に立てた導入プランにもとづいて冷静に考えるようにしてください。

環境にマッチしているかどうか

工業用デジタルマイクロスコープを工場や現場へ導入する場合、まずそれぞれの導入先がどのような環境にあるのか確認することが先決です。
温度や粉塵の有無、あるいは作業エリアの安全性や、取り扱っている製品に関しての衛生面への配慮など、環境に関連する要因は多種多様です。
工業用デジタルマイクロスコープを導入する場合、必ず環境に適合する製品を選択できるよう、最初に導入環境や実際の作業中の環境変化といった項目についてもしっかりと把握しておくことが必要となります。

照明の選択

工業用デジタルマイクロスコープの画像や映像の品質を左右するポイントの1つとして、現地や製品の照明環境があります。
工業用デジタルマイクロスコープを導入する場合、どのような場所やポイントでデジタルマイクロスコープを設置し、何を観察したいのか考えた上で、それに合わせて適切な照明プランの構築が必要です。
また、特に作業ラインへ組み込んでデジタルマイクロスコープを導入する場合、もし新たな照明器具の併設が必要になるのであれば、電源ラインや照明の色温度、明度といった点も撮影条件に合致するよう検討してください。


工業用デジタルマイクロスコープを用いるシーン、導入事例

工業用デジタルマイクロスコープを導入する場面や目的には様々なものがあります。ここでは、どのようなシーンで工業用デジタルマイクロスコープが必要になるのか、その一例を紹介していますので参考としてご活用ください。

金属の破面観察

素材や製品として活用されている金属に関して、その表面に何かしらの問題や不具合がないか工業用デジタルマイクロスコープを導入して観察することが可能です。
例えば金属表面に亀裂やヒビが入っていた場合、その部品をそのまま使用してしまえば結果的に製造される製品の品質が低下します。
そのため、金属が流れているライン上へ工業用デジタルマイクロスコープを設置して、不良品が発見されれば排除するといったシステムを構築することが有効です。

表面付着物・コンタミの調査

表面に異物が付着していたり、それによって食品や薬品などが汚染(コンタミ)していると予想されていたりする場合、直ちにラインを停止して不良品を排除するだけでなく、どうしてそのような問題が発生したのか要因を検証することが必要となります。
表面付着物やコンタミリスクに気づかず製品を製造・出荷・販売してしまえば、場合によって非常に深刻な事件や事故につながるため、決して妥協しないようプランニングすることが大切です。

部品の寸法計測

流れてくる部品の寸法計測に、工業用デジタルマイクロスコープと画像解析システムなどが利用されることもあります。
部品の寸法計測が確実に行われるようになれば、製造された製品に不具合やエラーがないか確認できるだけでなく、必要な資材や部品を自動的に選定したり、パーツフィーダと連結させて自動供給システムを構築したりといったことも可能となるでしょう。


まとめ

工業用デジタルマイクロスコープといっても、「工業用」という言葉はあまりに多くの目的や環境、用途などを含んでおり、一概にどの製品だけが適切だと言い切ることは困難です。
また、デジタルマイクロスコープを単独で使用するのか、他のシステムや機械と連結するのかといった条件もあります。
そのため、まずは自社のニーズや必要条件を検討した上で、販売メーカーなどプロにも相談しながら具体的な製品の比較検討を行うことが大切です。